マレーシアの高齢者介護施設(ハイエンド)見学から、これからのマレーシア介護ビジネスを考える

今回はHeritage senior care centrerというPetaling Jayaにある高齢者介護施設を訪問してきました。
第一印象としては、きれいで手入れされた庭、周りも静かな住宅街でリラックスでき、スタッフも暖かく、アットホームな環境で安心して入居できそうな感じです。

入居者は約18人、スタッフは約10人とコンパクトな施設ですが、クオリティー重視で様々な入居者が過ごしてらっしゃいました。部屋ごとに重症度や介護度合の違いで分類されています。
退院後の患者の一時預かりなどの需要もあり、受け入れ対応しているようで、一番ファシリティーのレベルが高い部屋には病院で入院しているのとほぼ同じ環境も拝見されました。
認知症の患者も一部屋に集めて、個別にケアをしています。

居住者によるガーデニング活動、天気が良い日には簡単な体操なども行っているようです。
看護師による病院レベルのケア体制、フィジオセラピストによる個別プログラムのリハビリ、居住者間でのコミュニケーションやワークショップなども積極的に行っていました。

今回の訪問の目的は現状を見て、どのようなビジネスチャンスがあるかを肌で感じることで、次の3つのポイントを中心に見学してきました。

  • 1.どのようなファシリティーがあるか 特に室内施設、リハビリ機器など
  • 2.どんな人が施設を利用しているのか?
  • 3.食事内容やアクティビティーなど

また、日本の介護サービスプロバイダーとのコラボの可能性などオーナーにお話を伺ってきましたので、最後までご一読いただければと思います。

概要

マレーシアの高齢化は2030年にはWHOの区分による60歳以上人口が15%を超える高齢化社会に突入するといわれている。以前からニュースやセミナー等でお伝えしている通り、シンガポールやタイなど高齢化社会と比べるとまだこれから一気に高齢化が始まるステージ。現在の65歳以上の人口は65%、23百万人。専門家の予想によると、今後23年間で2倍に増加が見込まれている。
またThe national health and morbidity survey (NHMS)2018によると43%が日常生活に不便を感じているとのレポートもあり、ポテンシャルがある市場と言えます。マレーシアには現在、1500以上の介護施設があるといわれていますが、その多くはクラングバレーといわれているKL周辺部に集中しています。ファシリティーのレベルとしては、小規模住宅に、ベッドを詰め込んだだけで、日本の介護施設のような、ファシリティーが充実していたり、スタッフ比率が確保されているところはほとんどありません。
現在も新しい規制(Higher Standards of Care under the Private Aged Healthcare Facilities and Services Act 2018 )が検討されてますが、これによりファシリティーのレベルアップが求められ、リハビリなど大きく質が改善されることが期待されています。

施設見学

まずは館内の様子です。
*あくまでも一般的な介護施設ではなく、ハイエンドの介護施設の様子ということになります。

1.どのようなファシリティーがあるか 室内施設

  • シャワー
  • リフト
  • リハビリ機器
  • 福祉用具
  • 満杯のためベッドの写真は取れず。病院用のベッドを使用。
  • 患者モニタリングとして、各部屋をTVでモニター。
  • ベッドはムーブメントセンサーAI機能付きベッドセンサーシステムを導入。
  • 車いすなどはすべて患者負担。病院のドクターから推薦を受けて個人で購入。
  • 医療器材はかかりつけ病院から医療器材の提供を受け、ナースが使用
  • 介護施設ではほとんど機材の調達をしない。

2.どんな人が特別介護施設を利用しているのか?

入居者は認知症の人、脳梗塞後のリハビリが必要な人、病院から退院したものの自宅での看病が難しい人、導尿チューブ、胃ろうや褥瘡の対応が必要なので自宅ではケアが難しい人など様々。
朝から、定期的なバイタル確認から、Covid19の週一でのテスト、糖尿病患者の血糖値チェックまで、ありとあらゆる検査を実施、スタッフはナースとケアギバーのミックス構成で、デイケアサービスも提供。特記すべきは、専属のフィジオセラピストがついて、機能回復を試みているまさに、マレーシアでは画期的とも言える体制でした。

というのは、マレーシアの一般的な介護施設は、大人数を詰め込みで預かる形式が多いためです。
また、マレーシアは、日本と違い、私立病院の入院費用は高いので、早期退院が基本になります。日本だとまだ入院してほぼ完全に回復してから退院ですが、マレーシアでは半分回復で退院するので、引き続き、完全回復まで、自宅でお世話が必要になります。従って、統治では通常看護師を自宅に派遣してもらうか、このような施設にお世話になるか2つの選択肢になります。
こちらの施設は病院から自宅での生活だとお世話が難しいかたの受け入れもしているので、入院後の受け皿機能としても(良心的な値段で手厚いケア)心強いと思いました。もちろん言葉の壁もありますが、スタッフによるとスマホを使ったコミュニケーションになりますが、日本人でも受け入れ可能とのことでした。入居を希望の方がいらっしゃいましたら、Ms. Lim Siew Pei ( Email: siewpei@click2health.com.my )まで直接お問い合わせください

3.食事やアクティビティーなど

食事

建物内キッチンにて提供(インハウス)。通常食と特別食を用意。
基本ローカル食。
介護用の食器やスプーンなどはケアギバーが食べさせるので需要なし。

アクティビティー

室内で塗り絵やゲーム、外ではボールを使った活動など
フィジオセラピストが各個人にプログラムを組み、機能回復に努めている。

より詳しい活動内容については下記リンクから。
https://www.malaysianow.com/news/2021/08/02/post-covid-era-to-see-more-seniors-in-need-of-care/

最後にオーナーに話を伺ってみました。

マレーシアでは急速に加速する高齢化が社会問題の一になっています。まったなしの環境で、コロナ。現場がどうなっているのか?そこで何がおきていたのか?海外からの渡航制限による外国人メイドの減少、コロナによる病院の満床、家族受け入れの難しさなど、色々なチャレンジがあったとのことですが、

Q1コロナにより、どう変わりましたか?

ポストホスピタル(退院後の一時預かりサービス)の需要は驚くほどずっとある。また、引き続き高齢化の波が来るので、当面需要はなくならいないだろう。コロナで一時的には、病院から自宅に戻されてもという理由や、手当など感染防止など、自信がないなど、受け皿としても今後も引き続きニーズがあることを確信している。

Q2今後の方向性として

マレーシアではまだまだこのようなクオリティーが高く、ポストホスピタルや超高齢者対応可能な施設が不足している。新しいテクノロジー(AI等)も積極的に取り入れより良いサービスを提供したい。

Q3日本の介護事業者のコラボレーションする可能性はあるか?

もちろんある。施設の運営やスタッフの教育などはこちらでできるが、マレーシアに住む日本人を対象とした介護施設運営のためのマーケティング、需要掘り起こしや入居者とのコミュニケーションなどが期待する役割として考えられる。

*外資100%でのナーシングホームの運営は許可されていないため、日系介護サービス事業者がマレーシアへ進出する場合はパートナーが必要。

まとめ

新しい動きとして以下3つを確認

リハビリ機器

市場が既にあり、今後も少しづつニーズが増え、市場形成される。
街中でもリハビリ専門施設など新規オープンなども見られる。
街中のリハビリ専門施設のファシリティーとしてはまだ高くないが、私立病院の一部には、高額な欧州製のリハビリ装置を導入しているところも。
今回は日本のリハビリ機器は確認できなかった。

患者モニタリング

AI機能付きベッドセンサーシステムの導入を確認。
家族が直接入居者の状況をスマホを使って確認できる。
トラブル発生時にはアラームがなり、早期発見と対応が可能である。

昇降リフト

欧州製のカスタムメイドの昇降リフトを導入。
自分でコントローラーで操作するか、リモコンでスタッフが操作。

ケアサービスの需要は今後も高い水準で増加が続く

今後も病院から退院後、いきなり自宅でなく、ステップダウンケアとしてのケアサービスの需要は続く。
理由は、病院のキャパ不足で、受け皿が必要。また、自宅に戻ってからも看護師による派遣サービスを受けられることで安心して、回復に専念できる。
家族が病院から直接自宅に来られて、コロナや、傷の感染防止等のトラブルなどを持ち込みたくない心理もある。

介護商品の需要は高齢化が急速に進むにつれて増加も販売ルートに注意

車いすや杖など、個人負担のものは、病院の医師から提供を受けているものがほとんど。
モニタリングシステムやリハビリ機器は、介護施設直接の売り込みの前にドクターやフィジオセラピストによる推奨などが必要。

上記には私見も含まれていますが、今後マレーシアへの介護ビジネスの進出を検討されている方や病院退院後のケアをどうしようかお困りのかたなどのご参考になれば幸いです。

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